2026年2月17日

「足腰が弱って歯医者に通うのが大変」
「親の入れ歯が合っていないようだが、連れて行くのが難しい」
「寝たきりの状態でも歯科治療は受けられるの?」
ご自身やご家族のケアで、このようなお悩みはありませんか?
訪問歯科とは、歯科医師や歯科衛生士が自宅や施設を訪問し、その場で専用の機材を使って治療やケアを行うサービスです。
むし歯治療や入れ歯の調整だけでなく、誤嚥性肺炎を防ぐための口腔ケアや、飲み込みの機能を維持するリハビリテーションまで幅広く対応しています。
本記事では、訪問歯科で「できること」「できないこと」をはじめ、利用するための条件や申し込みの流れを解説します。
訪問歯科とは通院が難しい方のための自宅で受けられる歯科診療

訪問歯科とは、歯科医師や歯科衛生士が患者さまの自宅や入居中の施設まで出向き、その場で歯科治療や口腔ケアを行うサービスのことです
車椅子での移動が難しい方、寝たきりの状態にある方、あるいは認知症が進行して長時間の外出が困難な方なども歯科診療を受けることができます。
訪問歯科でできること

訪問歯科では通院時とほぼ同等の幅広い治療や口腔ケアを受けることが可能です。ポータブル機器の進化により、自宅やベッドサイドでもかなりの処置ができるようになっています。ここでは、どのような治療・ケアが受けられるのかを見ていきましょう。
①むし歯治療
訪問歯科では、歯を削るための小型ドリル(タービン)や光照射器など持参するため、むし歯を削って詰め物や被せ物をする治療が可能です。ベッドに横になった状態の患者さまに対してお口を開けることができれば、その場で適切な処置を行います。
②歯周病治療
訪問歯科では、歯石を除去するスケーリングや、歯周ポケット内部の汚れを取り除くクリーニングを行うことができます。
高齢者は免疫力の低下や唾液の減少により歯周病が進行しやすい傾向があるため、定期的な訪問治療で悪化を食い止めることが重要です。歯ぐきから血が出る、口臭が気になるといった兆候があれば、放置せずに相談してください。
③入れ歯の作製・調整・修理
訪問歯科では、新しい入れ歯を作ることはもちろん、現在使っている入れ歯の調整や、壊れてしまった入れ歯の修理にも対応しています。
④口腔ケア
歯垢や歯石の除去、舌の表面にこびりついた汚れの清掃、入れ歯の洗浄などを行います。口の中の細菌を減らすことで、誤嚥性肺炎*のリスクを下げる効果も期待できます。

⑤摂食・嚥下リハビリテーション
年齢を重ねると、飲み込む力(嚥下機能)と呼ばれる力が衰えてくることがあります。食事中にむせやすくなった、飲み物がスムーズに飲めない、そんな症状が見られたら、嚥下機能の低下が始まっている可能性があります。
訪問歯科では、舌や喉の筋肉を鍛える体操、冷たい刺激を使って飲み込む反射を促すマッサージ、食事の姿勢や食べ方の指導など、嚥下リハビリテーションを受けることができます。
⑥抜歯
歯周病が進んで大きくぐらついている歯や、重度のむし歯で残しておくとかえって周囲に悪影響を及ぼす歯などは、訪問先で抜歯処置を受けられる場合があります。
ただし、すべての抜歯が可能というわけではありません。骨の中に埋まっている親知らずの抜歯や、大きな出血が予想される外科処置などは、設備や安全面の理由から訪問歯科では対応が難しいケースもあります。
⑦口腔機能検査・アドバイス
訪問歯科では、治療だけでなく、口腔内の健康状態を定期的にチェックしてもらうこともできます。むし歯や歯周病の早期発見、噛み合わせの確認、粘膜の状態の観察など、総合的に診てもらえるのは心強いでしょう。
訪問歯科でできないこと

訪問歯科は便利ですが、持ち運べる機器には限りがあり、診療環境も歯科医院とは異なります。ここでは、訪問歯科では難しい治療についてお伝えしておきます。
①矯正治療
歯並びを整える矯正治療は、訪問歯科では対応が難しい分野です。矯正治療は、治療前の精密な検査、装置の取り付け、数週間〜数ヶ月ごとの細かな調整を繰り返しながら、長い期間をかけて歯を動かしていきます。
訪問先でこれらすべてを実施するのは現実的ではないため、矯正を希望する場合は外来受診が基本となります。
②精密なレントゲン・CT撮影
訪問歯科でも、ポータブルのレントゲン機器を用いて簡易的な撮影ができるケースはあります。しかし、歯科医院に設置されている据え置き型のレントゲンやCTと比べると、画質や診断精度にはどうしても差が生じます。
顎の骨に異常があるといった精密な診断が必要な場合は、外来で撮影を行うよう案内されることがあります。
③緊急時の即時対応
訪問歯科は基本的に予約制で運営されています。そのため、「今すぐ歯が痛い」「転んで歯が折れた」といった緊急事態にその場で駆けつけてもらうのは難しいのが実情です。
急な歯のトラブルが発生した場合は、まずかかりつけの歯科医院に連絡を取るか、休日や夜間であれば地域の歯科救急医療機関を利用することを検討してください。
訪問歯科はどんな人が利用できる?

ここでは、利用できる条件について見ていきましょう。
利用条件は「通院が困難な方」
訪問歯科の対象となるのは、基本的に「一人で歯科医院に通うことが困難な方」です。要介護認定を受けている必要はありません。足腰が弱って歩行が不安定な方、車椅子を使用している方、認知症の影響で外出が難しい方、寝たきりの状態にある方、さらには精神的・身体的な障害をお持ちの方など、幅広い状況が対象となり得ます。
訪問可能エリアは歯科医院から半径16km以内が目安
保険診療で訪問歯科を利用する場合、歯科医院から診療を行う場所までの距離が半径16km以内であることが条件となっています。
訪問歯科の申し込みから治療開始までの流れ

ここでは、実際に自宅で訪問歯科を利用するまでのステップを順を追って説明します。施設に入居されている場合は、まず施設にご相談ください。
STEP1:訪問歯科に対応している歯科医院を探す
まずは、訪問歯科診療を行っている歯科医院を見つけるところから始まります。探し方はいくつかありますが、普段通っている歯科医院があれば、そこで訪問診療を行っているか尋ねてみるのがいちばん手軽です。
担当のケアマネジャーがいる場合は、相談してみると情報を教えてもらえることが多いでしょう。
STEP2:電話やWebで問い合わせ・相談
訪問歯科を行っている歯科医院が見つかったら、次は電話やメールフォームで連絡を取ります。
このとき、患者さまの状態(要介護度、主な症状、住所など)を伝えると、スムーズに話が進みます。
STEP3:初回訪問・口腔内検査・治療計画の説明
予約した日時に歯科医師と歯科衛生士が自宅や施設を訪れます。初回は、まず口腔内の状態をしっかりと検査し、むし歯や歯周病の有無、入れ歯の具合、嚥下機能の状態などを確認します。
検査結果をもとに、どのような治療が必要か、どのくらいの期間がかかりそうか、費用の目安はどのくらいかといった説明を受けます。不明な点はこの場で質問し、納得したうえで治療計画に同意する形になります。
STEP4:治療・口腔ケアの開始
治療計画が決まったら、いよいよ治療や口腔ケアがスタートします。状態に応じて、週に1回、あるいは月に数回といった頻度で訪問を受けることになるでしょう。
治療が一通り終わった後も、定期的な口腔ケアやメンテナンスのために訪問を継続するケースが多いです。
訪問歯科を受ける際の注意点と準備しておくこと

大げさな準備は必要ありませんが、いくつかのポイントを押さえておくと、当日の診療がスムーズに進みます。
・ベッドや椅子の周りに人が動けるくらいの空間を確保しておく
・マイナ保険証、後期高齢者医療被保険者証、介護保険証など、該当する保険証をすべて準備しておく
・高血圧、糖尿病、心臓病、骨粗しょう症など、何らかの持病をお持ちの場合は、必ず事前に歯科医師へ伝えておく
まとめ
訪問歯科は、通院が困難な方の自宅や施設へ歯科医師が出向き、治療や口腔ケアを行うサービスです。むし歯や歯周病の治療、入れ歯の調整に加え、誤嚥性肺炎の予防や嚥下リハビリテーションなど、高齢者の健康維持に欠かせないケアを受けられます。
一方で、インプラントや矯正治療、緊急時の即時対応など、設備や環境の制約により「できないこと」がある点には注意が必要です。
訪問歯科を希望する方は、まずはかかりつけ医やケアマネジャーに相談することから始めてみましょう。
厚誠会歯科 相模大野では、40年にわたり訪問歯科診療を行ってきた実績があります。むし歯治療から入れ歯の作製・調整、口腔ケア、摂食嚥下リハビリテーションまで幅広く対応。
訪問診療エリアは小田急沿線を中心に神奈川県の広範囲に対応しております。まずはお気軽にお問い合わせください。