2026年1月20日
歯磨きタイム、いつものように口をゆすいだら、洗面台の水が真っ赤に染まってドキッとしたことはありませんか?
歯磨き中の出血は、歯周病のサインであることもあれば、ブラッシング圧が強すぎることが原因の場合もあります。
出血を見ると驚いてしまいますが、「血が出るから磨かない」という判断が症状を悪化させてしまうことも。
そこで本記事では、歯磨きで血が出る5つの原因や、出血している時の正しい磨き方などについて解説します。
なぜ?歯磨きで血が出て止まらなくなる5つの原因

歯ぐきからの出血には、いくつかのパターンがあります。まずは、どのタイプに当てはまるのか、5つの原因を見ていきましょう。
原因①歯肉炎・歯周病による歯ぐきの炎症
可能性が高い原因は、歯肉炎や歯周病による炎症です。健康な歯ぐきは引き締まったピンク色をしていますが、歯と歯ぐきの境目に歯垢が溜まると、細菌が出す毒素によって歯ぐきが炎症を起こします。
炎症を起こした歯ぐきは、熟れたトマトのような状態。血管が拡張して充血しているため、歯ブラシの毛先が軽く触れただけでも簡単に出血してしまうのです。
毎日しっかり磨いているつもりでも、歯並びが悪い部分や奥歯などに磨き残しがあると、そこから炎症が広がります。
原因②歯ブラシが硬すぎる・磨く力が強すぎる
次に考えられるのが、歯ブラシの選び方や使い方の問題です。
「汚れをしっかり落としたい!」という気持ちが強すぎて、ついついゴシゴシと力任せに磨いていませんか?
歯ぐきは非常にデリケートな組織です。硬い毛先の歯ブラシを使ったり、強い力で横磨きを続けたりすると、歯ぐきが傷ついて物理的に出血してしまいます。
もし、新しい歯ブラシを使い始めて1ヶ月もしないうちに毛先が開いてしまうようなら、力が強すぎる可能性が高いです。
原因③ホルモンバランスの変化
女性の場合、ライフステージの変化に伴うホルモンバランスの乱れが影響していることもあります。特に、妊娠中や思春期、更年期などは注意が必要です。女性ホルモンの中には、歯周病菌の増殖を助けてしまう成分が含まれています。
特に、妊娠中は通常よりも歯ぐきが敏感になり、腫れや出血が起こりやすくなります。一時的なものであることも多いので、丁寧なケアを続けることで落ち着いていくことがほとんどです。
原因④血液をサラサラにする薬(抗凝固剤)の影響
もし現在、何らかの持病で病院にかかっているなら、服用しているお薬を確認してみてください。
脳梗塞や心筋梗塞の予防薬として処方される抗凝固剤を飲んでいる場合、副作用として血が止まりにくくなることがあります。この薬は血液が固まるのを防ぐ働きがあるため、歯磨きのわずかな刺激で出血すると、通常よりも止血に時間がかかってしまうのです。
原因⑤糖尿病やビタミン不足など全身疾患の可能性がある
稀なケースではありますが、お口の中だけの問題ではない可能性もゼロではありません。
糖尿病や白血病などの全身疾患、極度のビタミンC欠乏などが隠れていることがあります。
例えば糖尿病の方は、免疫力が低下しやすく組織の修復能力も落ちているため、歯周病が重症化しやすい傾向にあります。
もし、歯磨き以外のタイミングでも頻繁に鼻血が出たり、青あざができやすかったりといった全身の症状を伴う場合は、早めに内科を受診してください。
血が出る場所は磨いていいの?出血時の磨き方と対処法

ここでは、出血時に実践してほしい正しいケア方法をお伝えします。
「血が出るから磨かない」は逆効果!優しく汚れを落とす
歯磨きの時に出血する主な原因は、歯ぐきに留まっている歯垢です。磨くのをやめてしまうと、原因菌である歯垢がさらに蓄積し、炎症が悪化するという負のスパイラルに陥ってしまいます。
そのため、血が出ている部分こそ、優しく磨き続けてください。歯科の現場ではよく、「悪い血を外に出すつもりで、優しくマッサージしてください」と指導することがあります。
もちろん、痛みが強い場合に無理をする必要はありませんが、痛みがないのであれば、優しく汚れを取り除いてあげましょう。
歯ぐきを傷つけない「やわらかめ」歯ブラシを選ぶ
炎症を起こしているデリケートな歯ぐきをケアするには、道具選びが重要です。まずは、今使っている歯ブラシを「やわらかめ」タイプに変えてみましょう。
持ち方は、手のひらで握りしめるのではなく、鉛筆を持つように軽く握るペングリップがおすすめです。歯に当てる力加減の目安は、100g〜200g程度。キッチンスケールに歯ブラシを押し当ててみると分かりますが、思っている以上に弱い力で十分です。
毛先が広がらない程度の力で、歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当て、細かく振動させるように動かしてみてください。
歯間ブラシやフロスを正しく使用する
歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間の汚れには、歯間ブラシやデンタルフロスを活用しましょう。
「血が出るから苦手」という方も多いのですが、使い始めの出血は、そこに炎症がある証拠です。歯間ブラシは細いサイズから試し、抵抗なく入るものを選びましょう。無理に押し込むのは禁物です。
正しいサイズでケアを続けていけば、1〜2週間ほどで歯ぐきが引き締まって出血しなくなります。
病院に行くべき?様子見でいい?受診のタイミング

ここまでセルフケアについてお話ししましたが、プロの目で見てもらわないと解決しないケースもあります。
自宅ケアで改善が見られない場合(2〜3日が目安)
正しい歯磨きを意識して実践しても、2〜3日以上出血が続く場合は、歯科医院への予約を検討してください。
セルフケアで改善しないということは、歯ブラシでは取り除けないほど硬くなった歯石が歯ぐきの奥深くに付着している可能性が高いからです。
歯石は細菌の住処となり、炎症を慢性化させます。歯石は専用の機器でないと除去できません。
痛みがなくても危険!受診を急ぐべき「要注意な出血」
痛みがなくても、以下のような症状がある場合は、歯周病がかなり進行している恐れがあります。ためらわずに受診してください。
・歯磨きをしていない時でも口の中に血の味がする
・歯ぐきが赤紫色に腫れ上がり、触ると柔らかい
・周りの人から口臭を指摘されたり、マスクの中で嫌な臭いがする
・指で歯を揺らすと動く感じがする
歯磨き時の出血を放置するリスク

歯磨き時の出血を放置するリスクはお口の中だけにとどまりません。
出血している歯ぐきの血管は、傷口が開いているのと同じ状態です。そこから侵入した歯周病菌や毒素は、血流に乗って全身を巡り、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病の悪化、誤嚥性肺炎などを引き起こす引き金になります。
血管内に入った菌は、動脈硬化を加速させるコブのようなものを作り出します。これが剥がれて血管を詰まらせると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こしてしまうのです。
また、高齢の方では、唾液に含まれる菌が肺に入ることで誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の原因になるほか、最近ではアルツハイマー型認知症の脳内から歯周病菌が検出されるなど、脳への影響も懸念されています。*
*参考文献
世界初ヒト歯周病の歯茎で脳内老人斑成分が産生されていることが判明 〜歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与解明の新展開〜 九州大学大学院歯学研究院, 2019年11月14日
まとめ
歯磨きによる出血は、主に歯肉炎や歯周病による歯ぐきの炎症、またはブラシの使い方が原因で起こるトラブルです。
「血が出るのが怖い」と磨くのをやめてしまうと、原因菌であるプラークが溜まり続け、症状が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
また、出血を放置することは、心筋梗塞や糖尿病など全身の病気リスクを高めることにもつながるため注意が必要です。
しかし、やわらかめのブラシで優しくケアを続け、原因となる汚れを取り除けば、健康な歯ぐきを取り戻すことは十分に可能です。
自己判断で様子を見すぎず、2〜3日出血が続く場合は早めに歯科医院を受診し、健康な口内環境を整えていきましょう。
厚誠会歯科 相模大野では、歯周病の予防・治療に力を入れています。歯科医師と歯科衛生士が密に連携し、診断から治療、治療後のメンテナンスまで一貫した医療を提供しております。
「歯磨きで血が出る」「歯ぐきの腫れが気になる」といったお悩みにも丁寧に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。